<ベターサウンドライフ> 放送内容
日付は全て2016年
<ベターサウンドライフへの拘り> 6月4日
生活のなかにいい音で音楽を聴く感動を!
そんな想いを「言葉」と「音楽」で伝え続けたい。
「FMPORT」様、スポンサーの「ソニックプラスセンター新潟」様のご理解とご協力で、2016年6月から毎週土曜日20時からの1時間番組をスタートさせていただきました。
10月終了まで、22回にわたり、大分偏った内容になってしまったのかもしれませんが、今だからこそ伝えたい想いを語らせていただきました。
改めまして関係の皆さま、お聴きいただきました皆さまには深く感謝申し上げたいと思います。
オンエアー:Tom Waits, Keith Jarrett, Al Green, Led Zeppelin 他
<オーディオブームの頃、音の原体験> 6月11日
1970年代後半、東京吉祥寺ラオックスには、当時のハイエンド機器たちが所狭しとならんでいました。
中でもJBL、アルテック、タンノイなどの大型スピーカーは憧れの的でした。
学生の立場でしたが、そこでパイオニアのヘルパー(今で言う派遣社員)としてオーディオ販売の経験をさせていただきました。
先輩方はまた強烈で、アルテック信奉者やアフロヘアで117クーペハンドメイドに乗るファンキーな方など、何れにしてもかなりのオーディオマニアの方々にお世話になりました。
そのあたりの原体験が、アルテックのスピーカー604(629Bモニター)を学生の身分で6畳一間に入れ込んだり、2016年の今もそのまま使用していたり、免許を取って初めての車が117クーペだったり、さらには117を5台も乗り継いだりといった奇怪な行動の連続に繋がっていることはまぎれも無い事実なんです。
オンエアー:Bill Evans Trio, ボブ・マーリー & ザ・ウェイラーズ, デヴィッド・ボウイ, オーティス・レディング, キャロル・キング 他
<現在の音源=MP3 ご存知でしたかそれはCDの1/10の容量> 6月18日
ネットで音楽をやりとりするために、音源の容量を極力小さくす必要がありました。
このあたりは削ってもあまりわからないだろう、という方法でどんどん音が削られて、相当な劣化した音を聴くはめになってしまいました。
ここ最近は殆どの音楽配信サイトでその頃よりはまともの音質まで上げてきていますが、それでも例えばAppleのiTunes Plusという高音質タイプでもCD原音の18%程のファイル容量というのが現状です。
逆に言いますと、もっとCD自体の音が見直されてもいいのではと思いますし、前記の状況の反動として「ハイレゾ」が急速に浸透してきているのも頷けるわけです。
因にハイレゾは、ハイレゾリューションの略で高解像度を意味します。
こちらの音源はCDの3倍以上というかなりの大容量で、ハイが伸びきったきめ細かな音で、よりマスター音源に忠実な再生が出来るものです。
オンエアー:Stevie Wonder, ジョー・コッカー, サム&デイヴ, B.B. King & Eric Clapton, マディ・ウォーターズ 他
<音楽は元々生演奏しかなく、その後家庭で音楽を聴くことができるように> 6月25日
音楽を聴くという行為は、二つに分かれるものです。
一つは、コンサート会場、ホール、ライブハウスなどで所謂「生演奏」を聴くというものです。
もう一つがこうしてラジオやCD、PCオーディオで聴くという「再生音楽」で聴くということです。
オンエアー:ジョン・レノン, ロバート・ジョンソン, ジョン・メイヤー, ダニー・ハサウェイ, ボブ・マーリー & ザ・ウェイラーズ, ホリー・コール・トリオ, 本宮宏美 他
<普段聴いている音を簡単にグレードアップ> 7月2日
その第一歩は、お持ちのパソコンにある程度きちんとしたスピーカーをつなげてみましょうというものです。
外付けスピーカー、外部スピーカーを繋いでみましょう!ということです。
オンエアー:ノラ・ジョーンズ, アレサ・フランクリン, アレサ・フランクリン with キース・リチャーズ, ジョン・フルシアンテ, スプリームス 他
<スピーカーのお話> 7月9日
音は、空気の振動で人の鼓膜に届き、認識しています。
大きい音小さい音、高い音低い音、右からの音左からの音。
イヤホンやヘッドフォンで音楽を聴くのもダイレクト感があっていいものですが、鼓膜と音を出す振動板が近すぎます。
目の前に二つのスピーカーがあり、臨場感の感じられる音楽が流れてきた時、音楽の感動はもっと深まることを実感いただけるものと思います。
オンエアー:ザ・ビートルズ特集
<日本の学校や教育現場では難聴になる子が多い> 7月16日
床、天井、壁の音の反射が大きく、大きな声で話さないと聴こえない、「わんわん」としたように聴こえるわけですね。
各国では「吸音」が結構しっかり考えられていて、建築の際の基準値それは反響音を何デシベル以下にということがきちんと設けられていて、日本もその基準値があるのですが先進国と言われているなかでもその値がかなりゆるいうえ、実際かなり下位、すなわち吸音対策があまりなされていないということがはっきりとでているということなんです。
それが原因として、難聴が多くなっているとのことです。
オンエアー:桑田佳祐, デュークエリントン, ザ・ビートルズ, James Bay, キリンジ, 小野リサ
<現代の簡単オーディオ入門〜ようこそオーディオ> 7月23日
CDはもとより、スマホが繋げて、話題のハイレゾも聴く事が出来、小さいながらもきちんとしたスピーカーが二つ。
そんなところが必須条件になると思います。
スタイルとしてはネットワークCDプレイヤー+スピーカーという組み合わせのミニコンポですね。
オンエアー:プリンス特集, ドゥービー・ブラザーズ
<ホールでのアナウンスの声が美しい> 7月30日
日本武道館、帝国劇場、厚生年金会館をはじめ、全国の文化会館、県民会館の音響施設は70年代から80年代にかけステージ両サイドの埋め込みや天井につり下げてある巨大なスピーカーはアルテックランシング(米)が圧倒的に多かったものです。
新潟県をピックアップしてみますと、新潟市音楽文化会館、上越文化会館、柏崎市民会館、弥彦総合文化会館、燕市文化会館、加茂市文化会館とあります。
それ以降ですが新潟テルサは現在でもそうですね。
勿論、改装や改築でその後変わっている可能性はありますが、なにかの折、そのアナウンスやMCの「声」の良さを是非実感していただけたら大変嬉しいと思います。
因にMCとはよく聞く用語かと思いますが、司会者のことですね。
その語源は<マスター・オブ・セレモニー(The Master of Ceremonies)>で、セレモニーを司る支配者の意味です。
オンエアー:ザ・バンド特集, ロビー・ロバートソン, ボブ・ディラン & ザ・バンド
<ジェームス バロー ランシング=JBL> 8月6日
古くからのファンの間では、ジムランと、その名前の短縮されたワードで親しまれていました。
元々はランシング・マニュファクチャリング社を立ち上げていて、その頃既にサイレント映画からの変革期で高い性能を求められるトーキー映画の再生システムの開発に携わります。
そして、38cmのウーファーに、高音域用のコンプレッションドライバーとホーンの組み合わせという、その後音響の定番的スタイルになる技術を、この頃既に確立、その後アルテック・サービス社に買収されアルテック・ランシング社となります。
副社長、技術部門の責任者として在籍当時、有名なコンプレッションドライバー288、低音域担当のウーファーの代名詞515、そこにはずっとその開発者の名前「ランシング」が刻まれていました。
同軸型の名機604は当時ランシングが関わった製品なわけですが、JBL社を興した後も、その形状の機種はシーリング用途(ホール等での埋め込み型スピーカー)以外では、さすがに製品化することはかないませんでした。
パラゴンや4343、そして現代に於いても業務用から民生用と人気の機器を数多くリリースし続けているのはご存知の通りかと思います。
オンエアー:レッド・ツェッペリン特集, ジョー・ロビンソン
<ネットの普及とスマホの台頭=音の劣化その二> 8月13日
ネットにのせて音楽を届けるために、元々のCDの音を間引いて(削って)容量を1/10くらいまでに減らした音を聴いているということは前にお話しました。
例えばスマホでは殆どが「一つ」の極小さなスピーカーから音が流れています。
元々、レコーディングされたもとの音源はもとより、CDにしてもダウンロードやYouTubeに至っても2チャンネル、すなわち「二つ」のスピーカーで音を出す前提で作られています。
人の耳が「二つ」あり、左右、前後、上下を無意識に認識しているのはご承知の通りで、音楽もそのように作られているものです。
それを再現するためには「二つ」のスピーカーが必要ということはお解りいただけるものと思います。
オンエアー:ボブ・マーリー & ザ・ウェイラーズ, ジェイミーカラム
<古い音楽を取り入れ、新しい解釈で、新しい音楽を創造> 8月20日
ブルースというジャンル、それは黒人霊歌や労働の際に歌うような、アフリカ系アメリカ人が発祥と言われています。
そのブルースは、所謂ポピュラーミュージック全般の原点の、ルーツミュージックと言われています。
例えばジャズやロックンロールもその派生音楽ということになります。
そのブルースそしてリズムアンドブルースをこよなく愛し、実際にはカバー曲も収録してきたストーンズ、特にギターのキースリチャーズ、ボーカルのミックジャガーはそのブルースを基本に、その時々の時代のうねりを付加させて、曲作りをし常に第一線にいる、そんな印象があるわけです。
オンエアー:ザ・ローリング・ストーンズ特集, マジック
<わが青春のスピーカー 季誌オーディオアクセサリー> 8月27日
オーディオの雑誌がまたすごく種類も増えてきて、なにやら盛り上がってきています。
オーディオ評論家の皆さんは、仕事柄非常に多くの音響機器に接する機会があり、その時々でベストな製品をチョイスされてきたと思うわけですが、実際情熱を注いで愛用してきたスピーカー達は、どんなものだったのでしょうか?
まずは藤岡誠さん。一番印象に残るとあげていましたので、アルテック「604E+612A」通称銀箱と呼ばれていた所謂レコーディングモニターの原器みたいな存在のスピーカーです。
同じアルテックでは小林貢(みつぐ)さん。
音質を意識して購入したはじめてのスピーカーがアルテックの業務用システム「604-8G+612C」でした。
さらに林正儀(まさのり)さんは同じアルテックでも劇場用ヴィオスオブシアターA7。ホーン型の大型システムで当時のものはスクリーン裏に置くことしか考えられていない本当に業務用然とした見た目で、それがまたかっこ良いといった面もあったのかもしれません。
JBLでは、福田雅光さんの4343。
この機種は当時マニアの憧れの的であったのは以前お話しましたが、ワイドレンジの先兵とも言える解像度の高い音が最大の特徴で、この4343を家庭に持ち込むということが最大のステータスという時代がありました。
ダイアトーンの2S305、ヤマハの1000モニター、インフィニティRS4.5、クオードESL-63Pro、ATC SCM100、セレッションSL-600等々。
オンエアー:ノラ・ジョーンズ特集, 藤原さくら
<アナログレコードの放送にチャレンジ> 9月3日
音楽ソース、音源の比較ということから番組開設当初よりプランはありましたが、局の粋な計らいでアナログプレイヤーをご用意いただく運びとなり、本日、レコード盤に針を落とす瞬間がやってきました!
今、何故アナログなのか?
「音」の世界では、なるほどと思うかもしれませんが、一時停止をすると音は全く聞こえません。
音には必ず時間軸が必要ということがお解りいただけると思いますが、元々音はモロ、アナログなんですね。
これを例えば波形のグラフで見てみますと、完全に連続した「線」となっています。
その完全な連続した「音」をデジタル化する際に、どういう処理が行われるかといいますと、またちょっと難しい数字なんかが出てきて申し訳ないのですが、例えばCDですと1秒間に44,100回に区切って記録されているというイメージです。
乱暴に言いますと、1秒間に44,100回、音が途切れているということになるわけですが、その途切れがあまりにも細かいので、人間の耳には極普通に完全に連続したように聞こえていると、これが音のデジタル化です。
であれば、元々の連続したままの音を聴いてみたいということが、何故今アナログ?ということに対しての一つの回答になるのではないか、そんなふうに思います。
オンエアー:ザ・ビートルズ, Keith Jarrett, イーグルス, アメリカ(以上レコード)イーグルス, ベン・ワット(以上CD)
<アナログレコードの放送の反響> 9月10日
レコードのパチパチ音に癒されています。
中学の頃に、買ったり、レンタルして聴きまくっていた頃を思い出しました。またチャレンジしたくなりました。
アナログは、とてもソフトな感じがしますね。デジタルは、ハードな感じがしました。
以前若い人と話していたらディスクの裏面にも音源があることにビックリしていました(苦笑)
レコードプレイヤーとハウリングの件も詳しくお話いたしました。
オンエアー:マイケル・ジャクソン, USA for AFRICA(以上レコード)マイケル・ブーブレ(以上CD)
<JinRockFestival in KAMO2016> 9月17日
先週9月11日、日曜には加茂山公園でJinRockFestival in KAMO2016が開催されました。
天気もバッチリで、加茂山にじんさんのかっこいい声と、素晴らしい音楽が響き渡りました。
個人的にも、久しぶりに会える遠くからの人、それから極近所の人なんかもいますし、全体的にお子さん連れも含めて老若男女が、すごく当たり前にフェスを楽しんでいるというのが、あ〜なんか自然にすてきだなと、ものすごくいい感じだなと思いました。
実はその数日前に、かなり大きく新聞で取り上げられていました。
その大見出しは「地元の一体感どう醸成」ということで、さらに、「強力体制、広がりが鍵」とありました。
実は私ashは取材を受けていまして、その新聞記事ではコメントも実名で載っています。
言いたかったことは、2つありました。
一つは、開催されること自体に地元の一人一人は感謝の気持ちを持ちたいものだということです。
仁さんは、加茂山で待ってるよ〜と、何百回も連呼しているわけです。
それを聞いてなにも思わないというのはいかがなものか、とずっと思い、言ってきました。
もう一つは、せっかくわざわざ市外県外から来られる皆さんに、歓迎の意を表したいものだ、ということです。
「ウエルカムジンロック・ようこそ加茂へ」というフレーズが、町中を木魂する、そんな雰囲気でまた来年の記念すべき10周年をお迎えすることが出来たら、そんなことを願っています。
この回、アコギ主体の選曲で、ギブソン、マーチン、ギルド等々、ギターの機種や録音方法の過去と今の話も多くの反響をいただきました。
オンエアー:ポール・サイモン, ボブ・ディラン, Led Zeppelin, ロッド・スチュアート(以上レコード)ジェイソン・ムラーズ(以上CD)
<無謀のマイクの比較試聴> 9月24日
マイクを使用する際の基本をお話しました。
そして、全国初かどうかは定かではありませんが、シュアのSM58(米)、ノイマンのTL-103(独)、AKGのC451B(独)、オーディオテクニカのAT-AE4100(日本)の4本を使用し、私ashの声で音の違いをラジオで聴いていただくことにチャレンジ!
その後のお便りから、しっかりと違いが解って面白かった!という反響をいただき、ちょっと胸をなで下ろしていました。
何事も入口と出口が大事と言いますが、音の場合の入口、それがマイクです。
音はなかなか難しいと言いますか、奥深いものでして、音の違いがその人にとって「いい音」に感じるかどうかはまた別の問題で、そこにはなんでもそうだと思いますが、音にも好き嫌いや、合う合わないもあります。
ただ、ひとつ言えるのは、本当にいい音だと感じることが出来た経験があるかどうか、これは非常に大事なところでこの番組ベターサウンドライフは、音楽を今より少しでも、少しずつでもいい音で聴いて欲しいという願いのもと、そして、音楽の感動がより深まっていきますようにと、古今東西の事例をひっぱりだしながら、毎回手を変え品を変えお届けしていきました。
オンエアー:スティーヴィー・ワンダー, マービン・ゲイ, クール&ザ・ギャング(以上レコード)アダム・レヴィーン(以上CD)
<音楽の聴き方雑感> 10月1日
いい音とは何か、という問いに対して、「原音再生」がベスト、という一つの答えがあります。
生で歌ったり演奏したりするのを聴くことができれば良いわけですが、さすがに部屋のなかや車のなかに毎回アーティストや演奏家を連れてくるのは無理なわけです。
なので、毎回なにかしらの再生装置でもって、私たちは音楽を聴いています。
同じ音楽を聴くにも、手軽なスマホやタブレットでMP3の配信や聴き放題で聴く、同じデジタルでもCDをセットして聴く、さらに便利にハードデュスクに音源を貯めて聴く、そして手間ひまかかりますが、アナログレコードをセットして針を落として聴く、そんな対比が出来るのかもしれませんが、どれが一番ということでもなく、現代は色々あってそれぞれの良さを感じながら、さらに言えばデメリットをきちんと認識しながらオケージョンによって使い分けるというのが現代最善の音楽の聴き方、なのではないかと思います。
オンエアー:フィービ・スノウ, ユーリズミックス, ジェフ・ベック ロッド・スチュアート, Talking Heads(以上レコード)ナオ・ヨシオカ(以上CD)
<音楽配信サービス> 10月8日
音楽配信サービスには「ダウンロード」と「ストリーミング」の2種類があります。
ダウンロードはその都度楽曲を購入、1回のみダウンロードすればそれは自分のものになり、ネット環境にいなくても繰り返し保存した音源を聞くことが出来るサービス。
一方、ストリーミングは定額制聴き放題のサービスが主流で、聴く際には必ずネット環境でなければならず、音楽を保存することは出来ない。
そのかわり、膨大な楽曲数のなかから好きな曲を好きなだけ聴けますよ、というサービスです。
その代表格は先週のビジネス系のニュースでも結構取り上げられていましたが、1億人以上のユーザー数をもつ世界最大の音楽ストリーミングサービス「Spotify」で、11月から正式にスタートということになりました。
ついにというよりは、ようやくといった感じで日本に上陸します!
で、3000万曲が聴き放題なんですね。
ところがですね、日本レコード協会のアンケートによりますと、「音楽配信」を知っていると答えたのは全体の12.6%に過ぎないという結果でした。
聞いたことはあるけど内容はよくわからないが、52.2% さらに聞いたこともない・わからないというのが35.1% 結果的に12〜3%の人にしか知られていないという結果です。
これは昨年のデータですので直近の傾向としてとらえても全く問題はないということだと思います。
さらに実際の利用動向もご紹介しますと、既に利用しているという人は全体のなんと0.6%という結果です。
利用したいという意向の人は15%程、8割程の人は利用したいとは思わないということなんだそうです。
ある意味日本はこの分野でかなり出遅れている感はありますが、時間の問題なのでしょう。
オンエアー:THE POLICE, ライオネル・リッチー, リンダ・ロンシュタット, J・ガイルズ・バンド(以上レコード)Rei(レイ)(以上CD)
<レコーディングのおはなし> 10月15日
レコーディングスタジオのことをおはなししますと、当時はカセットテープのお化けみたいなでかいオープンリールの磁気テープに録音、ミックスダウンをして、カッティングマシーンという機材で原盤を作成、最終的にはレコードとして販売するというのが一般的でした。
現在、今はどうかといいますと、既に殆どの場合はパソコンベースで、業界標準と言われるソフトはプロツールスという名前のものを使用して、完全デジタルにて録音、レコーディングしていると言ってよいと思います。
その音源がCDやネット配信されているわけです。
では、録音スタジオではどういった手順でレコーディングされているのか、ということを皆さんにご紹介しました。
そして、ご家庭でもDTM(デスクトップミュージック)と称しかなり簡単にデジタル多重録音が出来る、いい時代になりました。
オンエアー:デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ, YES, ジミー・クリフ, Stuff, Talking Heads(以上レコード)ナルバリッチ(以上CD)
<東京インターナショナルオーディオショウ> 10月22日
まず、全体感として相変わらず桁違いに値段が高い製品が圧倒的に多いという印象があります。
勿論いつの時代もハイエンドの製品は存在し、それがプレステージ性を高める、ブランドイメージを高めるといった効果もあるのだと思いますが、それはますます一握りの人だけの、年々狭くなる一方の層にフォーカスしすぎている印象が拭えません。
最も1970年代から80年代のオーディオブームのころのような「数」が売れるという時代ではない、というのは承知のうえなわけですが、輸入高級車が買えるような値段を平気でつけている様子はかなりの違和感を感じてしまいます。
当時のハイエンド製品は、当時の輸入高級車の何分の一か10分の1くらいの感覚ですから、なおさらにそういった印象になってしまいます。
まあ、それは言っていても仕方ないわけですが、流れとしてはハイレゾに代表される高音質音源の忠実な再生に的を絞った方向と、アナログの再生を改めてきちんとしていこう、といったことがあげられます。
アナログでのトピックでは、1959年の発表より約60年、今もなをMCカートリッジのお手本的存在のSPUを作り続けるortofonから、SPU#1SそしてSPU#1Eという比較的低価格なモデルが登場したということがあげられます。
個人的もSPU/AEというオールドモデルを使用しているといういきさつもあるわけですが、圧倒的に重心の低いどっしりとした濃い目の音、透明感や繊細な表現とはある意味真逆なその存在感のある音は、未だに他の追随を許さない信頼感があるものです。
それでも5万、6万とする製品なわけですが、スタンダード版が10万、20万と昔の数倍の値段になってしまった今、このように廉価版を堂々と出す良識の高さは他メーカーも見習うところがあるのではと思うわけです。
国産でも最初の頃お伝えしていましたがテクニクスブランドの復活、ヤマハのベストセラースピーカーの復刻的な製品の登場、フォステクスの良識ある価格帯での製品の充実などがあげられるかと思います。その他マランツ、ラックスマン、DENNONあたりでしょうか?テクニクスはパナソニックの高級オーディオブランドで、一昨年復活してから急激に気合いの入った製品を投入し出しました。
大阪本社のショールームで一連の製品を聴いてきたことがありますが、解像度が高く、奇麗な澄んだ音、という印象で、作りもしっかりしていると思いました。
その復活の立役者は、パナソニックの役員で小川 理子(おがわ みちこ)さんという方なのですが、ジャズピアニストでもあり、プレイヤー、アーティストの顔を持っている方が指揮をとるという、もっと言えば女性の感性でオーディオが作られるという意味でも、これからも非常に楽しみな、日本のオーディオ業界を是非変えていって欲しいという思いを託したくなる存在であるわけです。
その意味は高ければいいもの、ということではなく、本当にいいものだからという発想でもって変えていって欲しいという意味合いです。
一方、ヤマハでは往年のベストセラースピーカーNS-1000という機種の復刻リバイス版といった位置づけのNS5000というこちらもフラッグシップスピーカーが目玉となっています。
ヤマハもご存知のようにピアノやギター、様々な楽器で世界的な認知をされていると思いますが、その楽器の開発者がオーディオの開発にも携わり、その音色をきちんと再現される製品を一緒になってプロデュースできるような体制がとれたなら、ヨーロッパの著名オーディオメーカーに胸を張って並ぶことが出きるんじゃないかというそんな期待感を持っています。
因に当時のNS1000は2本で26万円くらい、方や最新のNS5000は2本で150万円!
これもどう捉えるかは、微妙なところかもしれません。
今一番大切なことは、若い世代の人たちに、いい音で音楽を聴く経験の場を与えることで、なるほどこれはスマホで聴くのとは雲泥の差がある、ということをきちんと認識してもらうこと、それこそ学校の授業でも教えていくくらいのことが必要なのではと思います。
クラシックでもロックでも、音楽やっていますという人や、音楽専門学校を出ましたという人でさえ、スマホで聴くMP3という音源は、CDの10分の一のファイル容量だということを伝えて、へ〜そうなんですか?という状況はこの先かなりまずいことになる、ということを真剣に思っています。
オンエアー:ボブ・ディラン特集 ノーベル文化賞受賞記念(以上レコード)アウスゲイル(以上CD)
<For Better Sound Life> 10月29日
少しでもいい音で音楽を聴いて欲しい、そしてより深く音楽の感動に浸って欲しいという想いを、FMPORTさんに快くご賛同いただき、さらにソニックプラスセンター新潟さんが温かく主旨にご賛同下さりスポンサードしていただくことになり番組が始まり、そして継続させていただきました。
この場をお借りしまして、心から感謝申し上げたいと思います。
毎回収録や編集でご苦労をおかけしました番組ディレクター氏に、感謝したいと思います。
そしてなによりも、毎回楽しみに聴いていただきましたリスナーの皆さんには、本当に本当に感謝の気持ちでいっぱいであります。
普段の生活のなかでは、あらゆる場面で音を耳にします。
それは意識するしないに関わらず、目を瞑るとうことはあっても、耳を瞑ることは出来ないもので、心地よい音もあれば逆に耳障りな音もはいってくるものです。
太古の時代には、おそらく自然のなかで、それこそ自然の音だけが耳に入ってきていたんだろうなと想像しています。
それは風の音だったり、その風でそそよぐ草木の音だったり、鳥たちや昆虫のの鳴き声、動物たちのうごめき、川のせせらぎ、海辺では波の音、なんか、そんなことを考えているだけで心が穏やかになってくような気がします。
今はどうでしょう?
目覚ましの音で起こされて、電子レンジやトースターが電子音や電子的なしゃべりが聞こえ、お風呂がまもなく沸きますと言われ、外へ出たら信号機がしゃべり、電車を待っているとやたらとアナウンスが入り、車にのるとおはようございますからはじまり、今日もがんばりましょうと励まされ、町を歩くと数メートルおきに違うBGMが入れ替わり、夜家で静かにすごしたいと思ったら、エアコンの音やら冷蔵庫の音やら外を走る車の音。
まだまだあると思いますが、それらは、自分の意志とは全く関係なく本当に様々な音が耳に飛び込んでくるものです。
自らが、自分の意志で音を聴きたい、という時、そこには幸いにも「音楽」というものがあります。
録音や、それを再生するという技術を得て、今やまったく当たり前すぎることなんですが家でも、外でも、車のなかでも自分の意志で音楽を聴くことが出来ます。
その昔、音楽を聴くには生演奏を聴きにいく、ということしかなかったことを思えば、本当に恵まれた環境にあるものだと改めて思うところです。
であれば、少しでもいい音で、音楽を聴いたほうが良い。と思うのは極自然なことで、生演奏の臨場感やダイナミクスに少しでも近づけた音を家庭や車の中で再現したいという考え方が「オーディオ」「ハイファイオーディオ」の歩んできたところなんだと思います。
ワイファイに似たワードですが、ハイファイ、それはハイフィデリティの略で、高忠実度という意味です。
かなり大雑把に言いますと、原音再生、すなわち元の音を忠実に再生するということで、それを追い求めてきた歴史がオーディオの歴史といえるのではないかと思います。
以前は、家庭にステレオ、コンポ、モジュラーステレオなどなど、きちんとスピーカーから音楽が流れている環境が当たり前にあったものです。
小さい頃、子どものころから、自然に比較的いい音がなっている環境があったと思っています。
勿論、世の中的にオーディオブームなんかがあって、いい音にたいする関心や会話が本当に普通にあったものと思います。
今は、パソコン、スマホ、タブレットで本当に気軽に簡単に様々な音楽を耳にすることが出来るようになりました。
ところが、それと引き換えに、音楽を再生するにあたっての2つの非常に大切な要素がないがしろになってきたこともまた事実としてあるわけです。
一つは、これも繰り返しお伝えしていることですが、それらの状態はCDの1/10くらいに音を削ってしまった音源を耳にしていること、もう一つは、せっかくのステレオ2チャンネルで立体的な音なのに、ひとつの、それも非常に小さなスピーカーからしか聴くことができない、という2点です。
前者に対しては、ハイレゾという高音質の規格も一般的になりつつある訳ですが、先ず以ては今までからあるCDそのものの音質をもう一度噛み締めても良いのではないか、そんなふうに思っていて、是非そうしていただきたいと願っています。
そしてもう一方、左右、前後と立体的な音の構築をきちんと聴くために、アーティストやレコード会社が意図した状態で聴くために、是非2本のスピーカーを用意して、さらに目の前において、臨場感溢れる音の波に身をゆだねてみていただきたい、そんな風に願っています。
たかが音楽、たかがオーディオ。されど音楽、されどオーディオ。
いい音楽と、いい音にいっぱい励まされ、元気づけられ、癒されてきました。
そして、今逆にそのことを自分の目線でもって音として伝えていく、そんなことを仕事にさせていただいている私自身本当に有難いことだと思っています。
22回の放送を振り返り、エッセイとして、改めましてサイトでご紹介させていただきました。
オンエアー:ザ・ローリング・ストーンズ, デヴィッド・ボウイ, エリック・クラプトン, ボブ・マーリー & ザ・ウェイラーズ, RCサクセション(以上レコード)星野源(以上CD)